今から15年前に商業科高校を受験した私の体験談です。誰一人と同じ中学校からその商業科高校を受験する男子生徒がいない中、私はどうしてその高校を決断したのか。そして卒業後はどうなったのか。
普通科、工業科、商業科等、高校には様々な学科があります。どの学科を選んだらいいのか。少しでも進学先で悩んでいる生徒、親御さんの参考になれば幸いです。
商業科高校について簡単にこちらでまとめてみましたのでよろしければご参考下さい。
目次
私の中学校生活
まず私がどんな中学生だったか簡単に紹介させていただきます。
私は小学校からサッカーをしており、それは中学校に入ってからも続けていました。小学校時代には市の選抜に選ばれたりと多少腕には自信がありましたが、中学校に入ってからは体格にも恵まれず、副キャプテンにこそ抜擢されましたがプレイの方では思っている様なプレイが出来なくなっていきました。当初は高校に進学してもサッカーを続けたいと思っていた自分が居たんですが、一方で上には上がいると思い知らされ悩む日もありました。
肝心の勉強の方も全くと言っていい程出来ず、テストの順位でも下から数えた方が圧倒的に早かったです。授業態度も悪く、提出物も出さない。勉強なんて出来ても…なんてひねくれてました。今思い返してもバカだったと思います。
そんな中、中学2年の時に我が家に1台のデスクトップパソコンがやってきました。
パソコンとの出会い
パソコンとの出会いが私に大きな変化をもたらしました。今まで触れる機会なんて全くありませんでしたが、何気なくインターネットに接続したのがきっかけだったのかもしれません。当時のインターネット回線はダイヤル接続で、インターネットを使用している間、電話をしているのと同じ料金がかかったのを覚えています。
まず私がハマったのがチャット。
チャットにハマる
インターネット上で繋がった人と文字を使った会話が出来るサービス
文字とはいえ、知らない人と会話するのがすごく楽しかったんです。全くの素人の私でもチャットを続けているとタイピングのスピードはグングン上がり、自己流の為、指の配置こそバラバラですがブラインドタッチも出来るようになりました。
そこからは興味本位でワードやエクセル、ペイント等色々なソフトを使ってはどうでもいいような物を作ったりしていました。今でも動機は分かりませんが、自分で何かを作るという事が楽しかったんだと思います。思い返すと今でもワクワク感が蘇ってくるようにさえ思えます。
ホームページを作ってみる
私は元々ゲームが好きで特にRPGゲームをよくプレイしていたんですが、当時は攻略本の時代でした。しかし徐々にインターネットサービスが普及するにつれ、それはWEBへと移っていったんです。色々なホームページを訪問し、気づいたのが一般人が作ったと思われるページが多かった事。
そう思った事がきっかけです。今ほど情報は無いにしてもインターネットで検索をすれば知りたい情報を知る事が出来るんです。それも情報にお金はかかりません。
完全に0からのスタートでしたが、自分なりに没頭し、初めて作ったサイトは今思い返してもかなり恥ずかしい出来栄えでした。何回も何回も新しい知識を身につけてはリニューアルを繰り返し、お陰で今でもこのブログ運営の役に立っています。
当時の中学生が作ったホームページのアクセス数なんて微々たるものでしたが誰かに見てもらっているという事に喜びを感じ、WEBデザイナーという職業を知るきっかけにもなりました。
やりたい事が見つかる
パソコンで何かを作ったり、知らない人と会話をしたりするのが楽しかった反面、学校での普通の授業がますますつまらなくなっていったんです。
ただ、向上心だけはあったので部活の勧誘ポスターや、クラス新聞のような物を作る際に担任の先生にパソコンで作らせて欲しいと頼み込み、当時は学校で自由に使えるパソコンなんてありませんし、USBメモリーのような媒体も無いので自宅で作成・印刷し、それを担任の先生にコピーしてもらったりしていました。
この時は進路の事まではっきりとは考えていませんでしたが、大雑把ながら将来はパソコンを使った仕事がしたいと思うようになり、普通科進学というのは完全に私の頭の中から無くなりました。
両親に相談した事もありませんでしたが、成績の悪い息子がパソコンに夢中になっている事に対して特に注意される訳でもなく、やりたい事をやらせてくれた両親には感謝しています。恥ずかしくて聞けませんが、きっと何かを感じ取ってくれていたんだと思います。
進路を真剣に考え始める
中学3年になる頃には進路相談が始まり、パソコンの事を学べる学校というのを担任に相談し、工業科か商業科が候補先に挙がりました。
実のところ、私は絵を描くのも好きでペンタブを使って絵を描いたりしていたのでデザイン科への進学も考えていたんですが、一般入試が無かった事と卒業後にデザインの線で食っていけるのはごく一部だという担任のアドバイスもあり、デザイン科への進学はきっぱりと諦めました。
工業科よりも商業科を選択
そして工業科か商業科で迷っていた私ですが、工業科はどちらかというとパソコンを使った授業というよりパソコンのハード面の勉強に近く、それは私が望むものでは無かったので商業科一本で進学を考えるようになり、色々と情報収集を始めました。
私の家から通える所にA商業高校とB商業高校がある事が分かり、偏差値的にもどちらも同じぐらいだったので単純に家から近い方を志望しました。
ところが担任からは今の成績では入学は厳しいという事を伝えられ、ここに来て大きな問題となって私に降りかかってきました。
2つ目の大きな問題点
担任から成績の問題の他に、もう一つ私にとって大きな問題を伝えられました。それは、同じ中学校からその商業科を受験する男子生徒が1人もいないという事。
これに関しては成績の問題以上に本当に悩みました。仮に入学できたとしても周りは知らない人しかいないんです。ボッチなんです。担任からはこの間に普通科高校を薦められたりしましたが悩みに悩んだ結果、それでも商業科に進学したいという事を決意しました。
かけがえのない友人はもちろん、妻との結婚、息子の誕生等、今の私があるというのもこの決断の結果です。進学先というのは今後の人生にも大きく影響しますのでくどい様ですが、後悔の無い選択を!
受験に向けて
成績が悪く、推薦は当然もらえなかったので一般入試で受験に挑む事になり、商業科高校1本に進路を決めてからは真面目に授業を受ける様になり、塾に通う事にしました。といっても今さら真面目に授業を受けた所で時すでに遅し。
後は試験対策をするだけでした。ここからは楽しいものではありませんでしたが、やるしかないと言い聞かせて勉強しました。その結果、中学校生活最後の期末テストで初めて半分以内の順位になることができました。恐らく普通に授業を受けていればこのような苦労はせずに済んだはずですが、今となってはこれも良い経験だったと思います。
商業高校入学後
中学校生活の最後の最後で追い込んだ結果、無事に志望校に入学する事ができました。心配していた通り周りは知らない生徒しかいません。最初のうちは学校に行くのが楽しくありませんでしたが、あれだけ大きな問題だと思っていたボッチ問題もすぐに友達が出来、大人になった今でも付き合いは続いています。
商業高校の授業
普通科と大きく違うのは専門教科がある事。もちろん英語や数学、物理なんかもあるんですが、普通科とは授業の回数が違います。
- 情報処理
- プログラミング
- 簿記
- マーケティング
情報処理
マイクロソフトのエクセルやワードの使い方を実際にパソコンを使って学びました。事務職として働く今も毎日使うソフトなので社会人になってからの方がレベルは上がりましたが、高校時代に基礎を学べた事が大きな要因になったと思います。
プログラミング
エクセルでのVBAのプログラミングを学びました。正直なところ当時はプログラムに興味が無かったのでチンプンカンプンでしたが、社会人となって実際にマクロやユーザーフォームを組むようになり、授業で学んでいた事はこういう事だったのか!と後から気づかされた点が多かったです。
今ではある程度のプログラムを組む事が出来るレベルになりました。
簿記
貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を学び、簿記検定の取得を目指します。高校生活で日商簿記2級を取得できると就職活動の際に大きな武器になると思います。簿記で学んだ事も経理業務に携わっている訳ではありませんが、役に立つシーンが多いです。
マーケティング
デフレやインフレ等、経済の事を学びますが正直なところ授業内容はほとんど覚えていません…。社会人となった今も役に立ってるなぁという実感がありません。
普通科との大きな違い
普通科との大きな違いとして、高校3年になる頃には数学や現代文、英語の授業は週に1回程度しかありません。普通科目が嫌いだった私にとってはとても嬉しかったですね。
ただし、大学への進学希望であれば大学入試についていけなくなるので別途予備校に通うか専門科への推薦入学になると思います。行きたい大学が明確な場合は普通科高校に通った方がいいです。
男子生徒の人数
商業高校の中にも色々な学科がありますが、私がいた学科では3:1ぐらいの男女比で女子生徒の方が多かったです。ただ、私自身クラス内で男子が少ないなぁと思う事はほとんどありませんでした。
中学時代の友達からは女子が多くていいなぁ~なんてよく言われたりましたね。
高校卒業後
当時の高校卒業時は進学者と就職者の割合は大体5:5ぐらいでした。就職先に魅力のある企業が無かったので私は専門学校に進学しました。専門学校でもパソコンを使った授業を受けましたが、ここでは割愛させていただきます。
高校で出来た友達は一生の友達という言葉もありますし、私はインターネットで知り合った友達がクラスメイトだったなんて信じられない奇跡も体験した事もあり、今でも付き合いが続いています。進学先の高校を決める事は誰にとっても人生の中で大切な選択になると思いますので慎重に、後悔のない選択をしましょう。
親の立場として
商業科への進学の気持ちを始めて親に伝えた時は同じ中学からの男子生徒が私1人しかいなかった事もあり、最初は心配されましたが反対される事はありませんでした。
やりたい事をやらせてくれた両親には感謝しかありません。現在は親の立場となった私も自身の経験から、子供のやりたい事には反対せずやらせてあげたいと思います。例え選択に失敗したとしてもその経験は無駄にはならないと思うから。
人間、いくつになっても勉強の積み重ね。
大人になり、親となり、行動範囲が減ってきましたが私自身も色々な事に挑戦していきたいと思います。
最後に伝えたい事
学歴について。大卒という学歴は有利に働くケースが多いのも事実です。例えば初任給なんかも大卒と専門・短大卒では基本給に差があったり。また昇格、昇給にも少なからず影響があるかもしれません。ただ、私がよく思うのは高学歴≠優秀という事。もちろん職種にもよりますが、仕事の出来る出来ないは学歴に左右されません。実際に社会に出てから学ぶ事の方が多いからです。
私自身、やりたいと思える事が見つかった事が大きなポイントだったので、もしこの記事を見てくれている学生さんがいるならば、まずは焦らず自分のやりたいと思える事を見つけて欲しいです。中学生活で見つけられなければ高校生活で。高校生活で見つけられなければ大学、短大、専門生活で。それでも見つけられなければ働きながら探す。
長々と偉そうな事を書き綴りましたが、私の中学校卒業時の文集には「夢はWEBデザイナー」と書かれています。私自身も決して優秀な人間ではありませんし、夢は叶えられませんでしたが培った経験だけは裏切りません。ただ、やりたい事をやってきたというだけ。
今やりたい事が見つからない人もきっと自分に合った何かに出会う瞬間があるはず。
私に答えられる事であればお答えしますのでお気軽にご相談下さい。
商業科高校についてこちらでも簡単にまとめてますのでよろしければご参考下さい。
拝見させていただきました♀️ とても読みやすく、分かりやすい記事でした(^^) 私は今、中学三年生です。3年間部活動を励み、商業高校へ推薦で行こうと考えているのですが、推薦があるからといっても絶対に勉強は続けた方がいいですよね。(あと3ヶ月間)
サエコ様
コメント有難う御座います。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
勉強した方が良いかと問われるとほとんどの方がした方が良いと答えると思います。残りの中学校生活での勉強は高校入学後すぐにテスト結果等で差が付くでしょう。ただ、専門科目など商業高校入学後に教わる事も多いので普通科高校程では無いかもしれません。
推薦を狙えるとの事なので、普段から授業態度に問題無く部活動にも真摯に取り組まれてきた事でしょう。
そんな貴女ならきっと良い高校生活のスタートが切れると思います。
残りの中学校生活も貴重な時間なので自分が商業高校で何をしたいのかを大雑把でいいので少し考えてみると良いと思います。
一生に一度の高校生活です。貴女の高校生活が充実し、10年後20年後に商業高校に入学して良かったと思える様に。応援しています!